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海辺の二人

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 海岸。夕日。涼しい風。
「ねえ、子供の頃、こうやって二人でここに海を見に来たこと、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
「あのときの海とこの海は変わらないよね」
「うん、きっと同じだよ」

 静かな波の音。

「世界中で二人きりだね」
「二人きりだよ」

 夕日が沈む。ふと、隣に目をやると、そこには誰もいない。
 本当は、世界中で一人きり。
 やがて、星がまたたく。

 

(1998/7/28)

 

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