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裂け目

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 さされた自分から流れ出したのは、血液ではなく透明な液体だった。それがあふれ、静かに外界へと流れ出す。勢いがないのは、外の世界と内の世界の圧力が元々同じせいだった。そうすると、流れ出たという表現は正確ではなく、初めから一緒だったものがまた元に戻っただけなのだった。内と外を分けていた自分という皮が破れただけで。中身のない、ごく薄い自分の表面が裂け、内と外が混じり合う様子を見ながら僕はここにじっと佇む。

 

(2002/1/20)

 

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