index >> 小説置き場「悪夢は」 >> ねずみもち

 

ねずみもち

--

 ここはどこかな、おいしそうな匂いがする。
 白いふんわりしたものがたくさん。その上にのっかると、ベルトコンベアーでどこかへ運ばれていく。
 あれ、どうしよう、足が抜けない、と思っていたら、頭の上からあんこが乗せられ巻かれちゃう。
 そしてそのまま店頭へ並べられる。
 店主はぼくを並べて商店街を通る人々に声をかける。
「さあさ、できたて新鮮ですよ、おいしいですよ」
 一人の婦人がぼくを買っていく。大丈夫、家に着いたらきっと気づいて逃がしてくれるよ。
 家に着くと、その婦人が小さな女の子に言う、「あんころもち買ってきたよ」
 ぼくを手に取った女の子はいただきますと言ってぼくをかじった。
 真っ赤な口をあけて女の子は言う。
「おいしいね、このねずみもち」

 

(2009/6/28)

 

back