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中身拝見!

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「なーかみっの なーかみっの 中身拝見!」
奈加美は商店街のスーパーの前に止めてあった自転車の買い物かごの中身を漁る。
「おやー? 白菜、えのきだけ、白玉、鶏肉ー。今日は鍋でしょうかー? おっとこっちに鍋の素を発見!」
「ちょっとあんたなにしてんの!」
「おっと退散退散」

「なーかみっの なーかみっの 中身拝見!」
奈加美は地下の店に入っていく。そこには、カタログが置いてある。
「おーっとこれはー? なんと裏DVDのカタログのようです! いけないお店ですねー」

「なーかみっの なーかみっの 中身拝見!」
奈加美は通夜会場へ踏み入ると棺桶のふたをおもむろに外す。
「おやおや、まんじゅうに酒にケーキでございますか。これは死因は糖尿病ですねー」

「なーかみっの なーかみっの 中身拝見!」
奈加美はワニ園の柵を乗り越え、中に侵入する。
「さてさて、ワニさんの中身はどうなってるのかなー?」
ワニの口を力でこじあけ、ワニの中を覗き込む。
「あらら、何にも見えませーん」
と、ワニが突然暴れだし、奈加美の右腕に食いつき、食いちぎる。
「イタイですねー、このワニさんはいけない子ですー」

「なーかみっの なーかみっの 中身拝見!」
夜の街、歩道から車列に声を掛けている男のかばんをひったくり、中を見ようとする。
「なんだてめーは! こらっ!」
「おーっと、これはなんだかいけない粉のようですよー」
「どうした?」
「こいつがいきなりブツを」
「わたしはただ中身を拝見してただけですよー」
「なんだこの女、こいつ、お前の中身をひきずり出してやろうか!?」

「な・・・か・・・み・・・の、な・・・か・・・み・・・の、中身は・・・い・・・け・・・ん」
奈加美は、右腕を失い顔を腫れ上がらせ、股から血を流して、足を引きずりながら人気のない住宅街を歩いていた。
 目の前を黒猫が通りかかる。
「ふふふ、猫さんの中身も見ちゃおうかなー?」
「僕の中を見てどうするつもりさ」
「おやー? この猫さん言葉をしゃべるようですねー、ますます興味がわいてきましたよー」
「中を見て回ってるの? 何のために? あなたは観察者なの?」
「観察者? 知りませんねー。わたしが中を見て回ってるのは、中を見ればその本性が分かるからですよ!」
と、奈加美は黒猫に飛びかかる。黒猫はひらりとかわし、柵の上、家の屋根、2階の屋根へと飛び移る。
「中を見られるなんてごめんだよ。それじゃあね」
黒猫は走り去る。
「げげげげ、逃げられたー。次はどの中身を見ようかなー?」
奈加美はその家のドアを引きずり壊して中に入り込む。
「中身を拝見しに来ましたー」

 

(2008/12/4)

 

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