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目の検査

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「はい次の方。何やってんですか。前向いて。それをまず右目に当てて。はいこれ。分からない。はいこれ。これ。これも見えないの?」
「まったく見えません」
「これも分からないの」
「分からないのではなくて見えないのです。なぜなら目が頭の後ろについているからです」
「ほう、それは珍しい。そんな風で、日常生活に困りませんか」
「もちろん大変です。ごはんを食べるときも見えないし、字を書くこともできません。後ろ向きには歩けるのですが、変な目で見られます」
「それは大変ですね」
「私の母は私を盲学校へいれようとしましたが、目が見えるではないかと言って断られました。政府も私を身障者として扱ってくれなかったのです。国は目が後ろについている人を重度の身障者として認めるべきです」
「まったくそうですね。ではお大事に。次の人。しゃもじを右の目に当てて。何やってんですか。一つ隠すんですよ。え、目が三つあるんですか。じゃあ、もう一つ使ってください」

 

(1986/10/15)

 

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