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子猫達の手段

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 人気のない裏通りの、草の生い茂った空き地に子猫が捨てられていた。
 木箱に4匹、身を寄せ合ってぶるぶると震えている。
 と、そこへ、空き地の脇の道路を小さな男の子が歩いてきた。それに気づいた子猫達は男の子へ向かって大きな声で鳴き始める。男の子はそれに気がついてあたりを見回すと、空き地の木箱の子猫達を見つけ、駆け寄って来る。それを見て、なお一層声をあげる子猫達。
「うわー、かわいいー」
 子猫を撫でようと男の子はしゃがんで手を伸ばした。すると、子猫達はさっとよけ、箱の中から数本の腕が伸び、男の子の手をつかみ、口をふさぎ、首をひっぱって箱の中に引きずりこんだ。男の子は叫ぶ間もなく頭から木箱の中にはいってしまった。
 バキ、バキ、バキ。
 足はもう見えない。子猫達は満足した顔でまた一かたまりになり、鳴き始めた。

 

(1988/6/20)

 

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