index >> 小説置き場「悪夢は」 >> 重罪

 

重罪

--

 とても静かな場所だった。

 僕はこの静かな場所をずっと歩いていた。
 空には、星。
 足元は白い、砂漠。
 遠くに見える、青白い山。
 僕以外に生き物はいない。

 とても寒い場所だった。息を吐いてみる。息は、出なかった。僕は息をしていなかった。また空を見上げる。光輝く無数の星々。瞬くことはない、光のシャワー。
  ここはどこなんだろう。どこの星なのだろう。大気のない、冷たい光に満ちた、命のない世界。そこを僕は歩いている。

  これは、何かの罰?僕は、何か罪を犯したのだろうか。たった一人で、この星の上に立たなければならない、罪。
 どうして一人でいることが罰だと思うのだろう。一人でいることが罰だと思うのは、僕が一人で生きる生物ではないからだろうか。でも、僕は、ずっと一人だった、思い出せる限りは。
 でも、僕はこれを罰だと思った。一人で歩いていることが、僕はさみしいのだ。 では、僕は、ずっと罰を受け続けているのだ。生まれたときから。
 

 贖わなければならない罪の重さはどれほどなのだろう。思い出せないその重さを思いながら、この静かな世界を僕は歩き続ける。

 

(1999/5/7)

 

back