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今いるところ  

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「あなたが今いるところはどんなところですか」

 とても平らかな、白い場所。
 透明で、乳白色で、透き通っていて、見通せない地面。
 地平線までずっと続く。空、空は白く、遙かな高みまで白く、よどんでもなく、流れてもいない。
 呼吸する空気は透明で、はっかのように、希薄な、なにもない気体。
 そこに佇み、ただ白いその世界の中、その中心にいる。
 自分の時がまるで止まっているように感じられ、でも時間は流れている。
 しかしその流れは過去から未来、という一方的な流れではなく、絶えず循環しており、結果として自分の時は止まっている。

 立ち止まっているわけではなかった。
 しかし、歩いているのに、まったく進んでいない。いつまでも世界の、この白くて透明なこの世界の中心にいる。時間もここを中心としてゆるやかに循環している。
 何もつかめず、何も感じ取れない、永遠の、ただそこに存在するだけの透明な世界。

 そこにぼくはいる。

 

(2001/1/10)

 

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