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赤い服着た女の子

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「なあリュウ君、かけをしないかい?」
「いいとも坂本。かけの内容は何かな」
「次に僕らの前を通りかかる女の子の服の色を当てるんだ」
「よし、じゃあ赤だ」
「今日は暑いから白だろう」
 ほどなくかどを曲がってやってきた女の子は、真っ赤なTシャツを着ていた。
「かけは僕の勝ちのようだな、坂本」
 目の前を通り過ぎようとする女の子をくやしそうに見ていた坂本は、突然、背後で商店の壁を塗っていたペンキ職人の手から白ペンキをひったくると、女の子にぶちまけた。
「きゃあぁぁぁ」
「このガキなにしやがる!」
「どうだい、リュウ君、この女の子は白い服を着てるじゃないか」
「そういう手でくるのなら―」
リュウ君は出刃包丁を取り出し、怒り狂うペンキ職人の首すじに突き立てた。切断された頸動脈から血しぶきがほとばしり、女の子に降り注ぐ。
「ほらごらんよ、彼女は赤い服を着てるよ」
もう白ペンキがないので坂本はくやしまぎれに言う。
「いや、赤というより、白地に赤い水玉、というよりピンクじゃないか」
「往生際が悪いなあ」
リュウ君ため息をつくと、女の子をけさ切りにする。
「ほら、どう見ても赤い服だよ」
「―わかったよ、このかけは僕の負けだよ―さて、じゃあ次のかけをしようか」
「いいとも坂本、かけの内容は何かな」

 

(1998/8/11)

 

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